HEADLINE
July 31, 2014
JJ globo Report
July 30, 2014
【写真】セミナーツアー中のトーナメント出場も、しっかりと強さを見せたレアンドロ・ロ(C)HIROYUKI KATO
20日(日)に東京都板橋区の小豆沢体育館にて、JBJJF主催の3大会が行なわれた。
Text by Hiroyuki Kato
午前中はキッズ柔術家が参加した「第8回全日本キッズ柔術選手権」から。男女混合の4〜6歳までのマイティーマイトから、15歳のティーンカテゴリーまで32のアカデミーうより200名以上が参加する賑わいを見せた。入賞ポイントで争う団体優勝は鶴屋浩率いるパラエストラ千葉が2連覇達成。さらに表彰台はパラエストラが独占し、キッズ育成力の高さを証明した形になった。
午後からはアダルト〜マスター対象の「第2回東日本柔術選手権」、「第3回全日本ノーギ柔術選手権共催」が行なわれ、セミナーで来日していた2014年世界柔術選手権ミドル級優勝者のレアンドロ・ロがいよいよ日本の柔術マットに登場。まずアダルトエキスパートミディアムヘビー級トーナメントの1回戦で、日本のMMA界の重鎮・長南亮と異例の一戦が実現した。
【写真】果敢にアキレスを狙う長南。足関→立たれ、リバーサルポイントを失うという展開はMMAファイターの柔術挑戦で、以前からよく見られてきたシーンではあったが、その探究心は素晴らしい。どんどん柔術シーンに進出し、MMAに生かしてほしい(C)HIROYUKI KATO
試合は引き込んだロが潜り込み、長南を前に崩してバックを取りに行くが、長南も体を回転させながらスピーディーに脱出。すぐさま長南はシングルレッグテイクダウンを狙い完全にロに尻持ちをつかせるが。しかし、3秒以上相手を制しなければポイントとならない柔術ルール故、長南にアドバンテージのみが与えらる。
長南はさらにアキレス腱固めを狙い、ロは一瞬顔を歪めるも極めきれず。ロが足首の位置をズラして上になったことで、リバーサルの2ポイントが与えられ逆転。試合後半もロが引き込み、長南が再度アキレスを仕掛けて、それをロが外し上になり合計4-0(アドバンテージ0-1)でタイムアップを迎えた。柔術世界王者に健闘した長南は「2週間前に出場を決めました。柔術ルールは初めてなので難しい面もありましたが、近代MMAとしてすぐに立つことを意識し、思ったよりできましたね。アキレスも入りそうで、惜しかったです」と充実した表情でコメントを残した。
ロは決勝で前全日本ノーギ王者の神田崇広(GRABAKA柔術クラブ)と対戦し、生粋の柔術家である神田をテクニック、パワーで上回り完封し、20-0で勝利。終盤は時計を見ながら流すほどの余裕をみせた。
【写真】塚田は同日、ドゥマウ・チャンピオンシップと掛け持ち出場。せっかくロが出場するのに、未調整だろうが、もっと黒帯柔術家に挑戦して欲しかったもの(C)HIROYUKI KATO
続いてロは柔術部門でアダルト黒帯ミドル級に出場し、全日本2連覇中の塚田市太郎選手(ダムファイトジャパン)と対戦した。塚田は普段フェザー級を主戦場としているだけに、体重差は約10kg。やはりパワー差が出てしまい、テイクダウンで先制したロが終始上からサイド、マウント、ニーオンとポイントを重ね26-0と大量リード。最後はマウントからの十字絞めで一本勝ちした。ロは疲れが溜まったのか、無差別級は欠場しお役御免。結道着を着たのはこの1戦のみとなった。
同大会では、改革路線を強めるJBJJFでは初となるスペシャルワンマッチを開催。世界で活躍する強豪選手の試合や、リベンジマッチなど注目度の高いラインナップを揃え、注目を集めた。
<アダルト黒帯ライト級/10分1R>
チャールズ・ガスパー(IMPACTO JAPAN B.J.J )
Def.4-2
嶌崎公次(クラブバーバリアン)
JBJJF全日本選手権優勝、IBJJFアジアオープン優勝などの実績を誇るチャールズ・ガスパーに、茶帯時代に世界柔術でザック・マックスウェルと接戦を繰り広げ評価の高い嶌崎公次が対戦。互いに様子見で3分過ぎまでノーポイントだったが、引き込んでいたがスパーが一度三角に捉え、アドバンテージで先制する。嶌崎も逃れて直ぐに膝十字を狙うなど、アグレッシブな試合展開に会場が沸く。そして、際の攻防の中でスイープを共に1度決める。最後はがガスパーがもうワンスイープを決めてポイント4−2で快勝した。
<ノーギ アダルトエキスパート・ライトフェザー級/6分×1R>
松本義彦(GRABAKA柔術クラブ)
Def.6-0
嶋田裕太(ネクサセンス)
かつてのパン選手権黒帯王者・松本義彦が、今年の世界柔術紫帯ライトフェザー級3位、プロ・アマGT-Fを制している嶋田裕太(※先週末に茶帯に昇格)を指名し、実現した一戦。試合は黒帯松本が終始上から圧力をかけ続け、マウントを奪うなど完封した。
<アダルト黒帯フェザー級/10分1R>
アサダ・トシオ(IMPACTO JAPAN B.J.J)
Def.4-2
西林浩平(リバーサルジム新宿Me,We)
第15回全日本柔術選手権の再戦。前回はアサダが辛勝している。今回も序盤に西林が引き込み、得意とする後転スイープを仕掛け、ほぼ決まりかけたが崩れたところをアサダが狙いバックを奪い4ポイント先取。しばらく膠着状態が続くも、西林は残り30秒で後転スイープを決め、そのままパスを狙うも惜しくもタイムアップ。ポイント4−2でアサダが西林を返り討ちとした。
■第2回東日本柔術選手権アダルト紫〜黒帯結果
【紫帯ルースター級】
1位 澤田伸大(トライフォース柔術アカデミー)
2位 徳山弘行(グラスコ柔術アカデミー)
【紫帯ライトフェザー級】
1位 川野良(X-TREME柔術アカデミー海老名)
2位 岩井英治(ストライプル早稲田柔術アカデミー ヒルマ道場)
【紫帯フェザー級】
1位 檜山勇斗(パラエストラ川崎)
2位 池谷雅弘(ラグナロク柔術)
【紫帯ライト級】
1位 和田敏宏(X-TREME柔術アカデミー海老名)
【紫帯ミディアムヘビー級】
1位 エリクソン・ハファエル・タバレス・タケウシ(IMPACTO JAPAN B.J.J)
【紫帯オープンクラス】
1位 エリクソン・ハファエル・タバレス・タケウシ(IMPACTO JAPAN B.J.J)
2位 檜山勇斗(パラエストラ川崎)
3位 小花光広(パラエストラ東京)
3位 岩井英治(ストライプル早稲田柔術アカデミー ヒルマ道場)
【茶帯ルースター級】
1位 中村洋介(DRAGON'S DEN)※
【茶帯ライトフェザー級】
1位 宮地一裕(修斗ジムroots)
2位 飯野健夫(和術慧舟會HEARTS)
【茶帯フェザー級】
1位 高崎バンテルレイ・カルドン(IMPACTO JAPAN B.J.J)
2位 今泉貴史(パラエストラ吉祥寺)
【茶帯ミディアムヘビー級】
1位 神田崇広(GRABAKA柔術クラブ)
【茶帯オープンクラス】
1位 神田崇広(GRABAKA柔術クラブ)
2位 今泉貴史(パラエストラ吉祥寺)
【黒帯ルースター級】
1位 澤田真琴(DRAGON'S DEN)※
【黒帯フェザー級】
1位 平尾悠人(X-TREME柔術アカデミー)※
【黒帯ミドル級】
1位 レアンドロ・ロ(PSLPB シセロ・コスタ)
2位 塚田市太郎(DAMM FIGHT JAPAN)
【黒帯オープンクラス】
1位 塚田市太郎(DAMM FIGHT JAPAN)
2位 平尾悠人(X-TREME柔術アカデミー)
■第3回全日本ノーギ柔術選手権大会 アダルト・エキスパート結果
【ルースター級】
1位 澤田伸大(トライフォース柔術アカデミー)
2位 中村洋介(DRAGON'S DEN)
【フェザー級】
1位 石田浩(頂柔術)
2位 濱崎一登(ロータス世田谷)
【ミディアムヘビー級】
1位 レアンドロ・ロ(PSLPB シセロ・コスタ)
2位 神田崇広(GRABAKA柔術クラブ)
3位 吉田享平(頂柔術)、長南亮(TRIBE TOKYO MMA)
【オープンクラス】
1位 レアンドロ・ロ(PSLPB シセロ・コスタ)
2位 吉田享平(頂柔術)
3位 神田崇広(GRABAKA柔術クラブ)
※マークは一人優勝
続きを読む
20日(日)に東京都板橋区の小豆沢体育館にて、JBJJF主催の3大会が行なわれた。
Text by Hiroyuki Kato
午前中はキッズ柔術家が参加した「第8回全日本キッズ柔術選手権」から。男女混合の4〜6歳までのマイティーマイトから、15歳のティーンカテゴリーまで32のアカデミーうより200名以上が参加する賑わいを見せた。入賞ポイントで争う団体優勝は鶴屋浩率いるパラエストラ千葉が2連覇達成。さらに表彰台はパラエストラが独占し、キッズ育成力の高さを証明した形になった。
午後からはアダルト〜マスター対象の「第2回東日本柔術選手権」、「第3回全日本ノーギ柔術選手権共催」が行なわれ、セミナーで来日していた2014年世界柔術選手権ミドル級優勝者のレアンドロ・ロがいよいよ日本の柔術マットに登場。まずアダルトエキスパートミディアムヘビー級トーナメントの1回戦で、日本のMMA界の重鎮・長南亮と異例の一戦が実現した。
【写真】果敢にアキレスを狙う長南。足関→立たれ、リバーサルポイントを失うという展開はMMAファイターの柔術挑戦で、以前からよく見られてきたシーンではあったが、その探究心は素晴らしい。どんどん柔術シーンに進出し、MMAに生かしてほしい(C)HIROYUKI KATO
試合は引き込んだロが潜り込み、長南を前に崩してバックを取りに行くが、長南も体を回転させながらスピーディーに脱出。すぐさま長南はシングルレッグテイクダウンを狙い完全にロに尻持ちをつかせるが。しかし、3秒以上相手を制しなければポイントとならない柔術ルール故、長南にアドバンテージのみが与えらる。
長南はさらにアキレス腱固めを狙い、ロは一瞬顔を歪めるも極めきれず。ロが足首の位置をズラして上になったことで、リバーサルの2ポイントが与えられ逆転。試合後半もロが引き込み、長南が再度アキレスを仕掛けて、それをロが外し上になり合計4-0(アドバンテージ0-1)でタイムアップを迎えた。柔術世界王者に健闘した長南は「2週間前に出場を決めました。柔術ルールは初めてなので難しい面もありましたが、近代MMAとしてすぐに立つことを意識し、思ったよりできましたね。アキレスも入りそうで、惜しかったです」と充実した表情でコメントを残した。
ロは決勝で前全日本ノーギ王者の神田崇広(GRABAKA柔術クラブ)と対戦し、生粋の柔術家である神田をテクニック、パワーで上回り完封し、20-0で勝利。終盤は時計を見ながら流すほどの余裕をみせた。
【写真】塚田は同日、ドゥマウ・チャンピオンシップと掛け持ち出場。せっかくロが出場するのに、未調整だろうが、もっと黒帯柔術家に挑戦して欲しかったもの(C)HIROYUKI KATO
続いてロは柔術部門でアダルト黒帯ミドル級に出場し、全日本2連覇中の塚田市太郎選手(ダムファイトジャパン)と対戦した。塚田は普段フェザー級を主戦場としているだけに、体重差は約10kg。やはりパワー差が出てしまい、テイクダウンで先制したロが終始上からサイド、マウント、ニーオンとポイントを重ね26-0と大量リード。最後はマウントからの十字絞めで一本勝ちした。ロは疲れが溜まったのか、無差別級は欠場しお役御免。結道着を着たのはこの1戦のみとなった。
同大会では、改革路線を強めるJBJJFでは初となるスペシャルワンマッチを開催。世界で活躍する強豪選手の試合や、リベンジマッチなど注目度の高いラインナップを揃え、注目を集めた。
<アダルト黒帯ライト級/10分1R>
チャールズ・ガスパー(IMPACTO JAPAN B.J.J )
Def.4-2
嶌崎公次(クラブバーバリアン)
JBJJF全日本選手権優勝、IBJJFアジアオープン優勝などの実績を誇るチャールズ・ガスパーに、茶帯時代に世界柔術でザック・マックスウェルと接戦を繰り広げ評価の高い嶌崎公次が対戦。互いに様子見で3分過ぎまでノーポイントだったが、引き込んでいたがスパーが一度三角に捉え、アドバンテージで先制する。嶌崎も逃れて直ぐに膝十字を狙うなど、アグレッシブな試合展開に会場が沸く。そして、際の攻防の中でスイープを共に1度決める。最後はがガスパーがもうワンスイープを決めてポイント4−2で快勝した。
<ノーギ アダルトエキスパート・ライトフェザー級/6分×1R>
松本義彦(GRABAKA柔術クラブ)
Def.6-0
嶋田裕太(ネクサセンス)
かつてのパン選手権黒帯王者・松本義彦が、今年の世界柔術紫帯ライトフェザー級3位、プロ・アマGT-Fを制している嶋田裕太(※先週末に茶帯に昇格)を指名し、実現した一戦。試合は黒帯松本が終始上から圧力をかけ続け、マウントを奪うなど完封した。
<アダルト黒帯フェザー級/10分1R>
アサダ・トシオ(IMPACTO JAPAN B.J.J)
Def.4-2
西林浩平(リバーサルジム新宿Me,We)
第15回全日本柔術選手権の再戦。前回はアサダが辛勝している。今回も序盤に西林が引き込み、得意とする後転スイープを仕掛け、ほぼ決まりかけたが崩れたところをアサダが狙いバックを奪い4ポイント先取。しばらく膠着状態が続くも、西林は残り30秒で後転スイープを決め、そのままパスを狙うも惜しくもタイムアップ。ポイント4−2でアサダが西林を返り討ちとした。
■第2回東日本柔術選手権アダルト紫〜黒帯結果
【紫帯ルースター級】
1位 澤田伸大(トライフォース柔術アカデミー)
2位 徳山弘行(グラスコ柔術アカデミー)
【紫帯ライトフェザー級】
1位 川野良(X-TREME柔術アカデミー海老名)
2位 岩井英治(ストライプル早稲田柔術アカデミー ヒルマ道場)
【紫帯フェザー級】
1位 檜山勇斗(パラエストラ川崎)
2位 池谷雅弘(ラグナロク柔術)
【紫帯ライト級】
1位 和田敏宏(X-TREME柔術アカデミー海老名)
【紫帯ミディアムヘビー級】
1位 エリクソン・ハファエル・タバレス・タケウシ(IMPACTO JAPAN B.J.J)
【紫帯オープンクラス】
1位 エリクソン・ハファエル・タバレス・タケウシ(IMPACTO JAPAN B.J.J)
2位 檜山勇斗(パラエストラ川崎)
3位 小花光広(パラエストラ東京)
3位 岩井英治(ストライプル早稲田柔術アカデミー ヒルマ道場)
【茶帯ルースター級】
1位 中村洋介(DRAGON'S DEN)※
【茶帯ライトフェザー級】
1位 宮地一裕(修斗ジムroots)
2位 飯野健夫(和術慧舟會HEARTS)
【茶帯フェザー級】
1位 高崎バンテルレイ・カルドン(IMPACTO JAPAN B.J.J)
2位 今泉貴史(パラエストラ吉祥寺)
【茶帯ミディアムヘビー級】
1位 神田崇広(GRABAKA柔術クラブ)
【茶帯オープンクラス】
1位 神田崇広(GRABAKA柔術クラブ)
2位 今泉貴史(パラエストラ吉祥寺)
【黒帯ルースター級】
1位 澤田真琴(DRAGON'S DEN)※
【黒帯フェザー級】
1位 平尾悠人(X-TREME柔術アカデミー)※
【黒帯ミドル級】
1位 レアンドロ・ロ(PSLPB シセロ・コスタ)
2位 塚田市太郎(DAMM FIGHT JAPAN)
【黒帯オープンクラス】
1位 塚田市太郎(DAMM FIGHT JAPAN)
2位 平尾悠人(X-TREME柔術アカデミー)
■第3回全日本ノーギ柔術選手権大会 アダルト・エキスパート結果
【ルースター級】
1位 澤田伸大(トライフォース柔術アカデミー)
2位 中村洋介(DRAGON'S DEN)
【フェザー級】
1位 石田浩(頂柔術)
2位 濱崎一登(ロータス世田谷)
【ミディアムヘビー級】
1位 レアンドロ・ロ(PSLPB シセロ・コスタ)
2位 神田崇広(GRABAKA柔術クラブ)
3位 吉田享平(頂柔術)、長南亮(TRIBE TOKYO MMA)
【オープンクラス】
1位 レアンドロ・ロ(PSLPB シセロ・コスタ)
2位 吉田享平(頂柔術)
3位 神田崇広(GRABAKA柔術クラブ)
※マークは一人優勝
J-CAGE Interview
July 30, 2014
【写真】今年春、東京・中央区新富1丁目にパーソナルトレーニング専用のジム=LINX.gymをオープンした白井。当ジムでメイントレーナーを務める白井はMMAで培ったトレーニング理論をこういった形でも幅広く伝えていきたいという(C)TAKUMI NAKAMURA
21日(月・祝)、東京・大田区総合体育館で行われた「DEEP CAGE IMPACT 2014〜」。ウェルター級王座次期挑戦者決定戦で岡野裕城に勝利した白井祐矢。昨年4月にダン・ホーンバックルに奪われたDEEPウェルター級王座の奪還に王手をかけた。
DEEPウェルター級王座在籍時、非UFCの海外プロモーションでUFCクラスのファイターたちと鎬を削ってきた白井だが、結果を残すことは出来なかった。国内ウェルター級屈指の実力者といわれながらも海外で外国人選手に勝つことの難しさを肌身を持って経験してきた白井。海外遠征の日々を振り返ると共に、今後のキャリアについて語った。
――岡野選手に判定勝利し、DEEPウェルター級王座挑戦権を獲得した白井選手です。試合から約1週間、まだ左目には痛々しい傷が残っていますね。
「自分はカットしたり、顔が腫れやすいんで(苦笑)。見た目はこんなですけど、試合中は血が目に入って『見えづらいな』と思ったくらいで、ダメージはなかったです」
――岡野選手とは2013年2月に対戦して、白井選手が判定勝利しています。約1年5カ月ぶりの再戦はいかがでしたか。
「岡野選手は自信満々な感じでしたよね。自分に負けて以降は負けなしで、マッハ(桜井速人)さんもすごく推している。周りの評価も『今の岡野だったら白井に勝つんじゃない?』という感じだったと思います。前回は特に脅威を感じなかったですけど、今回は勢いや自信みたいなものを感じました」
――結果としてはスプリット判定でしたが、試合内容についてはどう感じていますか。
「リーチが長いので前蹴りは嫌でしたね。あと岡野選手は頑丈でした。結構、感触のある右が何度か入っても、グラッと来たのは1回くらいで。インローも結構効いていたと思ったのに顔には出さなくて、気持ちが強かったと思います。でもトータル的には落ち着いて戦えたと思います。それは試合前に長南(亮)さんと話していたことで、やろうとしたことは出来たのかなって」
――落ち着いて戦うことが白井選手にとっての課題だったのでしょうか。
「そうですね。結構、僕は1Rからガンガン攻めすぎて、途中からズルズル行くことが多かったんですよ。それで自分のペースになることもあれば、集中力が切れて流れが悪くなることもある。タイトルマッチでダン・ホーンバックルに負けた時はモロに後者で、2Rにグラウンドで下になった時に集中力が切れてしまいました(苦笑)。だから今回は1Rはマススパーのようなつもりで軽くやって、そこから試合を作っていこう、と。それが結果的には良かったのかなと思います。そうは言っても今の自分の立場としては何とか生き残れたという試合ですけどね」
――結果によっては進退も考えていましたか。
「はい。僕は3連敗したらプロでは続けられないと思っていて、去年4月にホーンバックルに負けて、10月にTTFで村山(暁洋)選手に引き分けた。村山戦は自分の中では負けと同じなので、もし岡野戦に負けたら引退を考えなきゃいけないと思っていました。それだけの覚悟を持って戦った試合です」
――白井選手は2011年〜2012年に日本と海外で試合を続けていて、今年はもう一度DEEPのベルトを目指すことになりました。そこに照準を定めた理由を教えてもらえますか。
「やっぱり僕の場合は返上じゃなくて負けてベルトを獲られたからですね。今はホーンバックルがチャンピオンではないですが、負けて失ったベルトだから、それはもう一度、自分の手元に取り戻したい。そういう気持ちです」
――王座陥落を区切りに王座返り咲きではなく違う道を選択するという可能性はなかったですか。
「どうしても僕は階級的にも国内で選択肢が少ないと思うんですよね。バンバン試合が決まる状況だったら『何連勝してUFCだ!』と思えるかもしれないけど、僕の場合はそうじゃない。だったら組まれた試合を確実にクリアして、そこにある目標を達成しよう、と。今の自分にとってはそれがDEEPであり、DEEPのベルトです」
――ここ数年の戦績を振り返ると、白井選手ほど非UFCの海外プロモーションで強豪外国人選手と戦ったウェルター級の日本人ファイターはいないと思います。
「DEEPでチャンピオンになってから、なかなか国内では相手が見つからないということで、長南さんが色々と動いてくれて海外で試合をさせてもらうようになりました。チャンピオンになる前も国別対抗戦だったM-1で韓国、アメリカ、オランダで試合しているので、何気に海外の試合経験は豊富なんですよ」
――確かにそうですね。ただしDEEPのチャンピオンになってからの方がより海外挑戦という意識は強かったのではないですか。
「はい。やっぱりDEEPのチャンピオンということを評価して僕を使ってくれていたんだと思いますし、自分としても海外で勝負する気持ちは強かったです」
――ポール・デイリー(2011年2月)、デウソン・エレノ・ペジシュンボ(2011年7月)、ファブリシオ・“ピッチブウ”・モンテイロ(2012年3月)、トミー・デュプレ(2012年10月)と、錚々たるメンバーと拳を交えてきましたが、どんな経験を積むことができましたか。
【写真】写真はOFCでのファブリシオ・モンテイロ戦。シンガポールのOFC以外でも、白井は英国のBAMMA、ブラジルのクルービー・ダ・ルタ、ベルギーのGLORYと現地のトップと対戦してきた(C)MMAPLANET
「それはもう全てですね。試合で感じたことはもちろん、自分はずっと長南さんと一緒に行動させてもらって、長南さんから色んな話を聞いたし、これから海外で試合をする選手たちにもアドバイスできることはたくさんあると思います。スウェーデンに行った時(2011年4月)は前日計量が終わったあと、対戦相手の(ダーヴィッド・)ビエルクヘイデンが血液検査に引っかかって欠場になって試合中止。ぺジシュンボと戦った時も、もともとはムリーロ・ブスタマンチと対戦する予定で、試合2日前に記者会見までやったのに、大会前日になってブスタマンチが腰痛を理由に欠場して、対戦相手が代わったり……まぁ色々ありましたね(苦笑)」
――そういった海外遠征ならではのトラブルも含めて、白井選手は白井選手にしか出来ないキャリアを積んできたと思うのですが。
「自分は本当にタイミングが良かったと思います。ちょうど世界中で地元のトップ選手が経験を積んでUFCへ、みたいな大会が増えて、そこに呼んでもらえたので。上手くその流れに乗って海外でUFCクラスの選手たちと試合を組んでもらえたと思います。ただ結果を出せなかったことが……ですね(苦笑)」
――UFCクラスたちと拳を交えて、どんなことを感じましたか。
「例えばデイリーとやる前はASTRAでチェ・ミルズに一本勝ちして、防衛戦(×岩瀬茂俊)にも勝って、ある程度は自信があったんです。長南さんからは『絶対に打ち合うな』と言われてましたけど、最低限の打撃はやってもいいだろうって。そしたら最初のジャブ一発で効かされて、そのまま訳が分からないままKO負けでした。いくら打撃が強いと言っても、まさかジャブ一発で効かされるとは思わないじゃないですか(苦笑)。UFCやストライクフォースで戦って結果を残す選手はそのくらい規格外で、それを肌で感じさせられた試合でした。でも実際はあのレベルの選手に勝たないとUFCでは勝っていけない。当時もし運よく自分がUFCと契約できていたとしても、きっと結果を出すことはできなかったと思います」
――ずばり海外遠征で結果を出せなかったのはなぜだと思いますか。
「自分はあまり環境の変化は気にならないタイプなんですよ、体重を落とすために動くスペースがあって、汗を出すために部屋にバスタブがあってお湯が出れば。だから環境が違うからっていうのはあまり関係ないと思います。どの試合も決して手を抜いていたわけじゃないし、練習で『これでいいや』と妥協したことも一切ないです。それでも勝てなかったのは……、もう自分の責任でしかないですよね。それが勝負といえば勝負なのかもしれないし。ただ何か噛み合わないな…とは思いながら戦っていました」
――もしかしたらそういった違和感を感じて実力を100パーセント発揮できないのが海外の難しさかもしれませんね。
「ですかね……、でもそれを抜きにしても自分の実力不足だったと思います」
――今年に入って同門の佐藤豪則選手、ストラッサ―起一選手がUFCと契約しました。その2人と比べても白井選手は実力的に遜色ないと思うのですが、歯がゆさはないですか。
「いやぁ、そういうチャンスが巡ってきたり、そこでちゃんと勝てる選手が強いんですよ。だから試合で結果を出している選手が強い。そういうことです」
――野次馬のような言い方かもしれませんが、白井選手と練習した選手はみんな口を揃えて『白井選手は強い』と言います。
「逆に言うと自分は練習で強さを練り上げて自信をつけて、それを試合でどれだけ出せるかが勝負の選手です。試合で閃いたり、爆発的に動けるタイプじゃない。昔は僕もインパクトを残して勝ってやろうと思ってましたけど、そのたびにKO負けしたり、変な試合をしちゃうんで、自分はそういう選手じゃないんですよ。それを自覚しているので、僕はもうコツコツやって結果を残す。それしかないですね」
――これからも白井選手は白井選手らしさを貫く、と。
「はい。ここ3年は試合の度に練習や調整方法を微妙に変えていたのですが、その中で自分に合っている方法を見つけて、岡野戦ではそれを実践したんです。そうしたらもの凄く身体が動きました。そうやって自分にあった練習スタイルがようやく固まってきたので、今後もそれを継続して、もっといいパフォーマンスを見せていきたいと思います」
【写真】DEEPウェルター級チャンピオンの悠太と肩を並べる白井。DEEPはリングとケージの大会があるので、その辺りも考慮する必要がある(C)GONGKAKUTOGI
――おそらく次戦はタイトル挑戦になると思います。今後の展望について聞かせてもらえますか。
「もちろんまた海外で試合をしたい気持ちはあります。でも今の自分はそれを言える立場じゃないです。まずは次の悠太戦に勝ってDEEPのチャンピオンに返り咲くこと、そこがスタートです。おそらくタイトル挑戦は年内になると思うので、そこで必ずベルトを獲る。先のことを考えるのはそれからですね。僕は地味な選手かもしれませんが(笑)、地道に結果を残して頑張ります」
続きを読む
21日(月・祝)、東京・大田区総合体育館で行われた「DEEP CAGE IMPACT 2014〜」。ウェルター級王座次期挑戦者決定戦で岡野裕城に勝利した白井祐矢。昨年4月にダン・ホーンバックルに奪われたDEEPウェルター級王座の奪還に王手をかけた。
DEEPウェルター級王座在籍時、非UFCの海外プロモーションでUFCクラスのファイターたちと鎬を削ってきた白井だが、結果を残すことは出来なかった。国内ウェルター級屈指の実力者といわれながらも海外で外国人選手に勝つことの難しさを肌身を持って経験してきた白井。海外遠征の日々を振り返ると共に、今後のキャリアについて語った。
――岡野選手に判定勝利し、DEEPウェルター級王座挑戦権を獲得した白井選手です。試合から約1週間、まだ左目には痛々しい傷が残っていますね。
「自分はカットしたり、顔が腫れやすいんで(苦笑)。見た目はこんなですけど、試合中は血が目に入って『見えづらいな』と思ったくらいで、ダメージはなかったです」
――岡野選手とは2013年2月に対戦して、白井選手が判定勝利しています。約1年5カ月ぶりの再戦はいかがでしたか。
「岡野選手は自信満々な感じでしたよね。自分に負けて以降は負けなしで、マッハ(桜井速人)さんもすごく推している。周りの評価も『今の岡野だったら白井に勝つんじゃない?』という感じだったと思います。前回は特に脅威を感じなかったですけど、今回は勢いや自信みたいなものを感じました」
――結果としてはスプリット判定でしたが、試合内容についてはどう感じていますか。
「リーチが長いので前蹴りは嫌でしたね。あと岡野選手は頑丈でした。結構、感触のある右が何度か入っても、グラッと来たのは1回くらいで。インローも結構効いていたと思ったのに顔には出さなくて、気持ちが強かったと思います。でもトータル的には落ち着いて戦えたと思います。それは試合前に長南(亮)さんと話していたことで、やろうとしたことは出来たのかなって」
――落ち着いて戦うことが白井選手にとっての課題だったのでしょうか。
「そうですね。結構、僕は1Rからガンガン攻めすぎて、途中からズルズル行くことが多かったんですよ。それで自分のペースになることもあれば、集中力が切れて流れが悪くなることもある。タイトルマッチでダン・ホーンバックルに負けた時はモロに後者で、2Rにグラウンドで下になった時に集中力が切れてしまいました(苦笑)。だから今回は1Rはマススパーのようなつもりで軽くやって、そこから試合を作っていこう、と。それが結果的には良かったのかなと思います。そうは言っても今の自分の立場としては何とか生き残れたという試合ですけどね」
――結果によっては進退も考えていましたか。
「はい。僕は3連敗したらプロでは続けられないと思っていて、去年4月にホーンバックルに負けて、10月にTTFで村山(暁洋)選手に引き分けた。村山戦は自分の中では負けと同じなので、もし岡野戦に負けたら引退を考えなきゃいけないと思っていました。それだけの覚悟を持って戦った試合です」
――白井選手は2011年〜2012年に日本と海外で試合を続けていて、今年はもう一度DEEPのベルトを目指すことになりました。そこに照準を定めた理由を教えてもらえますか。
「やっぱり僕の場合は返上じゃなくて負けてベルトを獲られたからですね。今はホーンバックルがチャンピオンではないですが、負けて失ったベルトだから、それはもう一度、自分の手元に取り戻したい。そういう気持ちです」
――王座陥落を区切りに王座返り咲きではなく違う道を選択するという可能性はなかったですか。
「どうしても僕は階級的にも国内で選択肢が少ないと思うんですよね。バンバン試合が決まる状況だったら『何連勝してUFCだ!』と思えるかもしれないけど、僕の場合はそうじゃない。だったら組まれた試合を確実にクリアして、そこにある目標を達成しよう、と。今の自分にとってはそれがDEEPであり、DEEPのベルトです」
――ここ数年の戦績を振り返ると、白井選手ほど非UFCの海外プロモーションで強豪外国人選手と戦ったウェルター級の日本人ファイターはいないと思います。
「DEEPでチャンピオンになってから、なかなか国内では相手が見つからないということで、長南さんが色々と動いてくれて海外で試合をさせてもらうようになりました。チャンピオンになる前も国別対抗戦だったM-1で韓国、アメリカ、オランダで試合しているので、何気に海外の試合経験は豊富なんですよ」
――確かにそうですね。ただしDEEPのチャンピオンになってからの方がより海外挑戦という意識は強かったのではないですか。
「はい。やっぱりDEEPのチャンピオンということを評価して僕を使ってくれていたんだと思いますし、自分としても海外で勝負する気持ちは強かったです」
――ポール・デイリー(2011年2月)、デウソン・エレノ・ペジシュンボ(2011年7月)、ファブリシオ・“ピッチブウ”・モンテイロ(2012年3月)、トミー・デュプレ(2012年10月)と、錚々たるメンバーと拳を交えてきましたが、どんな経験を積むことができましたか。
【写真】写真はOFCでのファブリシオ・モンテイロ戦。シンガポールのOFC以外でも、白井は英国のBAMMA、ブラジルのクルービー・ダ・ルタ、ベルギーのGLORYと現地のトップと対戦してきた(C)MMAPLANET
「それはもう全てですね。試合で感じたことはもちろん、自分はずっと長南さんと一緒に行動させてもらって、長南さんから色んな話を聞いたし、これから海外で試合をする選手たちにもアドバイスできることはたくさんあると思います。スウェーデンに行った時(2011年4月)は前日計量が終わったあと、対戦相手の(ダーヴィッド・)ビエルクヘイデンが血液検査に引っかかって欠場になって試合中止。ぺジシュンボと戦った時も、もともとはムリーロ・ブスタマンチと対戦する予定で、試合2日前に記者会見までやったのに、大会前日になってブスタマンチが腰痛を理由に欠場して、対戦相手が代わったり……まぁ色々ありましたね(苦笑)」
――そういった海外遠征ならではのトラブルも含めて、白井選手は白井選手にしか出来ないキャリアを積んできたと思うのですが。
「自分は本当にタイミングが良かったと思います。ちょうど世界中で地元のトップ選手が経験を積んでUFCへ、みたいな大会が増えて、そこに呼んでもらえたので。上手くその流れに乗って海外でUFCクラスの選手たちと試合を組んでもらえたと思います。ただ結果を出せなかったことが……ですね(苦笑)」
――UFCクラスたちと拳を交えて、どんなことを感じましたか。
「例えばデイリーとやる前はASTRAでチェ・ミルズに一本勝ちして、防衛戦(×岩瀬茂俊)にも勝って、ある程度は自信があったんです。長南さんからは『絶対に打ち合うな』と言われてましたけど、最低限の打撃はやってもいいだろうって。そしたら最初のジャブ一発で効かされて、そのまま訳が分からないままKO負けでした。いくら打撃が強いと言っても、まさかジャブ一発で効かされるとは思わないじゃないですか(苦笑)。UFCやストライクフォースで戦って結果を残す選手はそのくらい規格外で、それを肌で感じさせられた試合でした。でも実際はあのレベルの選手に勝たないとUFCでは勝っていけない。当時もし運よく自分がUFCと契約できていたとしても、きっと結果を出すことはできなかったと思います」
――ずばり海外遠征で結果を出せなかったのはなぜだと思いますか。
「自分はあまり環境の変化は気にならないタイプなんですよ、体重を落とすために動くスペースがあって、汗を出すために部屋にバスタブがあってお湯が出れば。だから環境が違うからっていうのはあまり関係ないと思います。どの試合も決して手を抜いていたわけじゃないし、練習で『これでいいや』と妥協したことも一切ないです。それでも勝てなかったのは……、もう自分の責任でしかないですよね。それが勝負といえば勝負なのかもしれないし。ただ何か噛み合わないな…とは思いながら戦っていました」
――もしかしたらそういった違和感を感じて実力を100パーセント発揮できないのが海外の難しさかもしれませんね。
「ですかね……、でもそれを抜きにしても自分の実力不足だったと思います」
――今年に入って同門の佐藤豪則選手、ストラッサ―起一選手がUFCと契約しました。その2人と比べても白井選手は実力的に遜色ないと思うのですが、歯がゆさはないですか。
「いやぁ、そういうチャンスが巡ってきたり、そこでちゃんと勝てる選手が強いんですよ。だから試合で結果を出している選手が強い。そういうことです」
――野次馬のような言い方かもしれませんが、白井選手と練習した選手はみんな口を揃えて『白井選手は強い』と言います。
「逆に言うと自分は練習で強さを練り上げて自信をつけて、それを試合でどれだけ出せるかが勝負の選手です。試合で閃いたり、爆発的に動けるタイプじゃない。昔は僕もインパクトを残して勝ってやろうと思ってましたけど、そのたびにKO負けしたり、変な試合をしちゃうんで、自分はそういう選手じゃないんですよ。それを自覚しているので、僕はもうコツコツやって結果を残す。それしかないですね」
――これからも白井選手は白井選手らしさを貫く、と。
「はい。ここ3年は試合の度に練習や調整方法を微妙に変えていたのですが、その中で自分に合っている方法を見つけて、岡野戦ではそれを実践したんです。そうしたらもの凄く身体が動きました。そうやって自分にあった練習スタイルがようやく固まってきたので、今後もそれを継続して、もっといいパフォーマンスを見せていきたいと思います」
【写真】DEEPウェルター級チャンピオンの悠太と肩を並べる白井。DEEPはリングとケージの大会があるので、その辺りも考慮する必要がある(C)GONGKAKUTOGI
――おそらく次戦はタイトル挑戦になると思います。今後の展望について聞かせてもらえますか。
「もちろんまた海外で試合をしたい気持ちはあります。でも今の自分はそれを言える立場じゃないです。まずは次の悠太戦に勝ってDEEPのチャンピオンに返り咲くこと、そこがスタートです。おそらくタイトル挑戦は年内になると思うので、そこで必ずベルトを獲る。先のことを考えるのはそれからですね。僕は地味な選手かもしれませんが(笑)、地道に結果を残して頑張ります」
UFC
July 30, 2014
【写真】ニック・ディアズは タイトルを欲しいといっているが、UFCにとってこの対戦はレジェンド路線となるのか、それともタイトル戦への布石という位置づけなのかも気になるところだ(C)MMAPLANET
29日(火・現地時間)、ダナ・ホワイトがESPNスポーツセンターで来年のスーパーボウルウィークエンド、2015年1月31日にラスベガスでアンデウソン・シウバとニック・ディアズが対戦することを明言した。
昨年12月28日にクリス・ワイドマン戦で左足の脛を骨折、トレーニングを再開したレジェンドがUFCと再契約を果たしたばかりの悪童ニックとの試合でカムバックすることが決まった。ニックにとっては2013年3月以来の実戦復帰。恐らくはミドル級での対戦となるだろうが、彼は過去に179ポンドでフランク・シャムロック、180ポンドでスコット・スミスを破っているが、185ポンド(=ミドル級)での試合経験はない。
24日にUFCと契約をかわした際のインタビューでは「タイトルを狙いたい」、「ロビー・ローラーのような自分と手の合う相手もいる」、「アンデウソン・シウバとはビッグファイトになる。彼は動き続けることで対戦相手を追い込んで来たけど、自分もしっかり準備して接近戦の持ち込む」というような発言をしていたニック。リーチの長さを利した、独特なサウスポーからのボクシングで数々の成功を収めてきた彼は「俺だってプレーはできる。でもリアルでありたいんだ」と、ファイティングに対する矜持を持つ。そんなニックがアンデウソンとどのような戦いをやってのけるか。なおスーパーボウル・ウィークエンドはメモリアルデー、独立記念日、年末大会と並ぶビッグショー。他にどのようなランナップが並ぶかは当然、まだ決定しておらず、彼らの試合がメインで5Rになるか、3R戦になるのかは言及されていない。
続きを読む
29日(火・現地時間)、ダナ・ホワイトがESPNスポーツセンターで来年のスーパーボウルウィークエンド、2015年1月31日にラスベガスでアンデウソン・シウバとニック・ディアズが対戦することを明言した。
昨年12月28日にクリス・ワイドマン戦で左足の脛を骨折、トレーニングを再開したレジェンドがUFCと再契約を果たしたばかりの悪童ニックとの試合でカムバックすることが決まった。ニックにとっては2013年3月以来の実戦復帰。恐らくはミドル級での対戦となるだろうが、彼は過去に179ポンドでフランク・シャムロック、180ポンドでスコット・スミスを破っているが、185ポンド(=ミドル級)での試合経験はない。
24日にUFCと契約をかわした際のインタビューでは「タイトルを狙いたい」、「ロビー・ローラーのような自分と手の合う相手もいる」、「アンデウソン・シウバとはビッグファイトになる。彼は動き続けることで対戦相手を追い込んで来たけど、自分もしっかり準備して接近戦の持ち込む」というような発言をしていたニック。リーチの長さを利した、独特なサウスポーからのボクシングで数々の成功を収めてきた彼は「俺だってプレーはできる。でもリアルでありたいんだ」と、ファイティングに対する矜持を持つ。そんなニックがアンデウソンとどのような戦いをやってのけるか。なおスーパーボウル・ウィークエンドはメモリアルデー、独立記念日、年末大会と並ぶビッグショー。他にどのようなランナップが並ぶかは当然、まだ決定しておらず、彼らの試合がメインで5Rになるか、3R戦になるのかは言及されていない。
UFC
July 29, 2014
【写真】キャリア11勝1敗、待望のUFCデビュー戦が待たれるチェ・ドゥホ(C)MMAPLANET
5月のUFC173、サム・シシリア戦でオクタゴン・デビューが決まっていたチェ・ドゥホだが、足首の負傷で同大会出場ならず、初陣は先送りになってしまった。あれから2カ月、地元クミで行われたRFC16でクミMMAのチームメイトのセコンドについていたチェ・ドゥホに負傷の具合と、UFC仕切り直しのデビュー戦について尋ねた。
――5月のUFCデビュー戦を負傷で流してしまいました。その後、足首の具合はいかがですか。
「足首の方はほぼ回復しているのですが、肩の負傷は痛みが残っており、今も治療中です。マッサージなど丹念に行っているので、来月にはちゃんと練習できるようになると思います」
――現状では、どのようなトレーニングなら可能なのでしょうか。
「軽いMMAトレーニングと、ウェイトトレですね。痛めた足首はもう90パーセントは完治しているのですが、肩の方がまだなので、そういう練習になってしまいます」
――しかし、ラスベガスのPPVイベントで決っていたデビュー戦を負傷で流したのは痛恨の極みではなかったですか。
「負傷して本当に悔しかったです。スパーリングとか、そういうハードな練習をしている時にケガをしたわけでなく、技術練習中だったので尚更でした。運も悪かったと思いますが、足首を捻ってしまいMRIでチェックして、何とか試合ができないかと、その可能性も探りました。結果的に戦うことはならなかったのですが、プロファイターとして生きている限り、負傷もつきもの、次に頑張るしかないと自分に言い聞かせました」
――では、仕切り直しとなるUFCデビュー戦の予定はまだ立っていない状況なのですね。
「UFCからは幾度となくオファーがあったのですが、まだ体が完全ではないので、受けられていない状況です。8月のマカオ、9月の日本大会という話もあったのですが、そこには間に合わないので10月以降、11月か……とにかく今年中には戦いたいと思っています。本当に12月にはUFCでデビューしたいのですが、ブラジルっていう話もあり、またチームで考えています」
――ラスベガスとえらい違いだと?
「まぁ、本来は自分に選択権はないので、戦えと言われればどこだろうが戦うのですが、やはり最初はアジアなど負担の少ないところが良いかとは皆で話しています。ただ開催地がどこか、ブラジルは避けたいとか、そんなことよりも体を元に戻すことが先決で、そちらに重点を置いているので、戦う場所とかそこまで考えられていないのが実状です」
――この間、ジョゼ・アルドが負傷し、チャド・メンデスの挑戦を受ける世界戦がキャンセルされました。あの試合が行われていると、どちらが勝ったとチェ・ドゥホ選手は予想していましたか。
「ジョゼ・アルド選手です。チャド・メンデス選手の強さは十分に理解していますが、メンデス選手がテイクダウンを奪っても、アルド選手を相手に寝技をキープできるとは思えないです。すぐに立たれるでしょう。特にニック・レンツ選手と戦った時のような試合では。アルド選手には勝てないと思います」
【写真】RFC16=クミ大会では、同門のジョン・チャンヒョン&キム・ジンミンのセコンドに就いたが、残念ながら両者とも判定で敗れた(C)MMAPLANET
――やはりストライカーに肩入れをしてしまいますか。
「いえ、決してそういうことではありません。アルド選手はストライカーでなく、何でもできるファイターですし。フランク・エドガー戦を見ても、あの距離の取り方は抜群でした。あのエドガー選手がテイクダウンを取れなかったくらいですから」
――そんなフェザー級の頂点を目指すチェ・ドゥホ選手ですが、UFCではどのようなキャリアの積み重ね方をしたいと考えていますか。
「まだ自分はUFCのようなトップステージで活躍している選手と戦ったことがないので、自分のレベルは分かりません。だから、まずはUFCに決められた相手に勝つことを目指します。ただ、日本でもプロ2戦目で相手は10戦以上のキャリアの持ち主でしたし、それ以降も自分よりキャリアがあり、実力者という選手達と戦ってきました。だから、キャリアとか前評判という部分で、UFCだからといって臆していることはありません」
――1日も早く、チェ・ドゥホ選手の雄姿が見られることを期待しています。
「カムサハムニダ」
続きを読む
5月のUFC173、サム・シシリア戦でオクタゴン・デビューが決まっていたチェ・ドゥホだが、足首の負傷で同大会出場ならず、初陣は先送りになってしまった。あれから2カ月、地元クミで行われたRFC16でクミMMAのチームメイトのセコンドについていたチェ・ドゥホに負傷の具合と、UFC仕切り直しのデビュー戦について尋ねた。
――5月のUFCデビュー戦を負傷で流してしまいました。その後、足首の具合はいかがですか。
「足首の方はほぼ回復しているのですが、肩の負傷は痛みが残っており、今も治療中です。マッサージなど丹念に行っているので、来月にはちゃんと練習できるようになると思います」
――現状では、どのようなトレーニングなら可能なのでしょうか。
「軽いMMAトレーニングと、ウェイトトレですね。痛めた足首はもう90パーセントは完治しているのですが、肩の方がまだなので、そういう練習になってしまいます」
――しかし、ラスベガスのPPVイベントで決っていたデビュー戦を負傷で流したのは痛恨の極みではなかったですか。
「負傷して本当に悔しかったです。スパーリングとか、そういうハードな練習をしている時にケガをしたわけでなく、技術練習中だったので尚更でした。運も悪かったと思いますが、足首を捻ってしまいMRIでチェックして、何とか試合ができないかと、その可能性も探りました。結果的に戦うことはならなかったのですが、プロファイターとして生きている限り、負傷もつきもの、次に頑張るしかないと自分に言い聞かせました」
――では、仕切り直しとなるUFCデビュー戦の予定はまだ立っていない状況なのですね。
「UFCからは幾度となくオファーがあったのですが、まだ体が完全ではないので、受けられていない状況です。8月のマカオ、9月の日本大会という話もあったのですが、そこには間に合わないので10月以降、11月か……とにかく今年中には戦いたいと思っています。本当に12月にはUFCでデビューしたいのですが、ブラジルっていう話もあり、またチームで考えています」
――ラスベガスとえらい違いだと?
「まぁ、本来は自分に選択権はないので、戦えと言われればどこだろうが戦うのですが、やはり最初はアジアなど負担の少ないところが良いかとは皆で話しています。ただ開催地がどこか、ブラジルは避けたいとか、そんなことよりも体を元に戻すことが先決で、そちらに重点を置いているので、戦う場所とかそこまで考えられていないのが実状です」
――この間、ジョゼ・アルドが負傷し、チャド・メンデスの挑戦を受ける世界戦がキャンセルされました。あの試合が行われていると、どちらが勝ったとチェ・ドゥホ選手は予想していましたか。
「ジョゼ・アルド選手です。チャド・メンデス選手の強さは十分に理解していますが、メンデス選手がテイクダウンを奪っても、アルド選手を相手に寝技をキープできるとは思えないです。すぐに立たれるでしょう。特にニック・レンツ選手と戦った時のような試合では。アルド選手には勝てないと思います」
【写真】RFC16=クミ大会では、同門のジョン・チャンヒョン&キム・ジンミンのセコンドに就いたが、残念ながら両者とも判定で敗れた(C)MMAPLANET
――やはりストライカーに肩入れをしてしまいますか。
「いえ、決してそういうことではありません。アルド選手はストライカーでなく、何でもできるファイターですし。フランク・エドガー戦を見ても、あの距離の取り方は抜群でした。あのエドガー選手がテイクダウンを取れなかったくらいですから」
――そんなフェザー級の頂点を目指すチェ・ドゥホ選手ですが、UFCではどのようなキャリアの積み重ね方をしたいと考えていますか。
「まだ自分はUFCのようなトップステージで活躍している選手と戦ったことがないので、自分のレベルは分かりません。だから、まずはUFCに決められた相手に勝つことを目指します。ただ、日本でもプロ2戦目で相手は10戦以上のキャリアの持ち主でしたし、それ以降も自分よりキャリアがあり、実力者という選手達と戦ってきました。だから、キャリアとか前評判という部分で、UFCだからといって臆していることはありません」
――1日も早く、チェ・ドゥホ選手の雄姿が見られることを期待しています。
「カムサハムニダ」
Bellator MMA
July 29, 2014
【写真】グランドスラム出場時点でスコット・コーカーは所のベラトール出場に大乗り気だった(C)MMAPLANET
29日(金)、日本では各方面で所英男がBellatorと契約したという報道がなされている。これはある特別な計らいがあり、米国時間の29日付のリリースが現地に先んじて日本のメディアに公表された形となった背景がある。
ご存じのように所英男は13日のGrandSlam旗揚げ戦のメインで、ビクター・ヘンリーに2RTKO負けを喫したばかり。新しくベラトール代表となったスコット・コーカーは、この敗北には斟酌せず、所と契約を結ぶ選択をしたことになる。もともと、所陣営ではUFC出場を目指す所本人の想いとは別に、海外で戦いたいという彼の意志を汲み、OFCなども視野に入れ、とにかくまずは1勝を勝ち取ることでUFC JAPAN代役出場も含め、局面を打開する手はずを整えていた。そんななか陣営の一人が、ストライクフォース時代からコーカーとの旧知の間柄で、6月18日にベラトール入閣が決まったコーカーと7月に入ってから、コンタクトを取り所参戦への交渉が始まった。
そしてグランドスラム出場時点で、エキサイティングな試合を好むコーカーは所獲得への意欲を示し、ヘンリー戦の敗北にも関わらず、日本時間の16日の午前中には所のベラトール出場はほぼ決まっていた。契約は本来19日(土・現地時間)に結ばれる予定だったが、契約書に不備が見つかり、本契約は週末を挟み先週にずれ込んだ結果、この段階で公となった次第だ。所は今回のベラトールとの契約に関して、以下のようなコメントを発表している。
所英男
「まずはスコット・コーカーさんのベラトール社長就任、おめでとうございます。コーカーさんが開くベラトールは、HERO’Sのような大会になるようなイメージを持っています。戦績の決して良くない僕が、ベラトールのような米国の凄い団体と契約できて夢のようです。コーカーさんや米国のファンに喜んでもらえるよう頑張ります。ストライクフォースを主宰していた偉大なコーカーさんと仕事ができて嬉しいです。少しでも長く、米国で戦うことができるよう結果を残します」
コーカーは大のお気に入りの所の試合を9月の中旬に行われる大会で登用したい腹積もりだったが、7月にKO負けしている所はダメージを抜く必要やビザを取得する必要性があり、10月以降にベラトール初陣を戦うことが現実的だ。そして、PRIDEやK-1への造詣が深かったコーカーだけに、所に続く日本人ファイターとの契約も期待されるが、現時点でベラトールが目指すのは、米国での活動を立て直すこと。よって彼らが望む日本人はエキサイティングな試合ができるビッグネーム。トーナメント制を廃棄し、Spikeで中継されるMMA大会が米国でさらに浸透した頃に、日本人選手はチャンスが広がってきそうなスコット・コーカー体制のベラトールだ。
続きを読む
29日(金)、日本では各方面で所英男がBellatorと契約したという報道がなされている。これはある特別な計らいがあり、米国時間の29日付のリリースが現地に先んじて日本のメディアに公表された形となった背景がある。
ご存じのように所英男は13日のGrandSlam旗揚げ戦のメインで、ビクター・ヘンリーに2RTKO負けを喫したばかり。新しくベラトール代表となったスコット・コーカーは、この敗北には斟酌せず、所と契約を結ぶ選択をしたことになる。もともと、所陣営ではUFC出場を目指す所本人の想いとは別に、海外で戦いたいという彼の意志を汲み、OFCなども視野に入れ、とにかくまずは1勝を勝ち取ることでUFC JAPAN代役出場も含め、局面を打開する手はずを整えていた。そんななか陣営の一人が、ストライクフォース時代からコーカーとの旧知の間柄で、6月18日にベラトール入閣が決まったコーカーと7月に入ってから、コンタクトを取り所参戦への交渉が始まった。
そしてグランドスラム出場時点で、エキサイティングな試合を好むコーカーは所獲得への意欲を示し、ヘンリー戦の敗北にも関わらず、日本時間の16日の午前中には所のベラトール出場はほぼ決まっていた。契約は本来19日(土・現地時間)に結ばれる予定だったが、契約書に不備が見つかり、本契約は週末を挟み先週にずれ込んだ結果、この段階で公となった次第だ。所は今回のベラトールとの契約に関して、以下のようなコメントを発表している。
所英男
「まずはスコット・コーカーさんのベラトール社長就任、おめでとうございます。コーカーさんが開くベラトールは、HERO’Sのような大会になるようなイメージを持っています。戦績の決して良くない僕が、ベラトールのような米国の凄い団体と契約できて夢のようです。コーカーさんや米国のファンに喜んでもらえるよう頑張ります。ストライクフォースを主宰していた偉大なコーカーさんと仕事ができて嬉しいです。少しでも長く、米国で戦うことができるよう結果を残します」
コーカーは大のお気に入りの所の試合を9月の中旬に行われる大会で登用したい腹積もりだったが、7月にKO負けしている所はダメージを抜く必要やビザを取得する必要性があり、10月以降にベラトール初陣を戦うことが現実的だ。そして、PRIDEやK-1への造詣が深かったコーカーだけに、所に続く日本人ファイターとの契約も期待されるが、現時点でベラトールが目指すのは、米国での活動を立て直すこと。よって彼らが望む日本人はエキサイティングな試合ができるビッグネーム。トーナメント制を廃棄し、Spikeで中継されるMMA大会が米国でさらに浸透した頃に、日本人選手はチャンスが広がってきそうなスコット・コーカー体制のベラトールだ。
Interview AsianMMA
July 28, 2014
【写真】会心の一撃でKO勝ちした高瀬大樹 (C)MMAPLANET
26日、RFC16/YoungGuns15でウィ・スンベに勝利した高瀬大樹、試合3日前に対戦相手と階級変更というドタバタを乗り越え、見事なKO勝ちを決めた。試合の前のパッキャオ&メイウェザー&ヒクソン・スタイルが話題になった高瀬が試合で結果を出した
<ライトヘビー級/5分2R>
高瀬大樹(日本)
Def.1R4分34秒by KO
ウィ・スンベ(韓国)
花道でセコンドの加藤清尚と抱き合い、そのまま歩を進めセコンドからサングラスを受け取ると同時に、入場曲が変調。カンナムスタイルが流れるや、PSY(サイ)ばりにダンスを披露、一気に観客席を沸点に導いたパフォーマンスを披露した高瀬。
【写真】マイクアピールが滑るイメージが強かった高瀬だが、カンナムスタイルで韓国のファンのハートをキャッチした(C)MMAPLANET
試合はウィ・スンベの右ローでスタート。高瀬の左ローは空を切り、ウィ・スンベが左フックを狙う。自分の距離を作るために左右の蹴りを繰り出す高瀬に対し、ウィ・スンベは再びローからハイを繰り出す。高瀬はショートのパンチから距離を詰め、ウィ・スンベをケージに押し込むが、ここは自ら距離を取り直す。
高瀬の右ミドルにウィ・スンベが右ストレートを合わせ、鼻先を掠めていく。ウィ・スンベのハイをスウェイでかわした高瀬はノーガードで左ミドル。ブロックしたウィ・スンベが左ジャブを伸ばす。一旦、距離を取った高瀬が鋭い踏み込みから左ストレート一閃。その前の段階で視線を落していたこともあり、ウィ・スンベはテイクダウンを警戒していたので、この一発がモロに顔面を捉える。
もんどりうって後方に倒れたウィ・スンベの背後からパウンドを落すと、即レフェリーが試合を止めて試合は決した。1R4分34秒の快勝劇、力強いKO勝ちを手にした高瀬に、快勝劇を振り返ってもらった。
【写真】口は悪いが、実は口下手で自己表現が苦手、正直者の高瀬。試合後も、こんな風にしか笑顔を見せることができないが、そこがまた彼らしい(C)MMAPLANET
――左ストレート、一発KO勝ちとなりました。
「会心の一撃でした。いやぁ、嬉しかったですね。足下が滑りやすくて、ああいうマットの時はバックステップは使えるのですが、前に出るのが難しくなって。それはテイクダウンに入るのも同じなんですが……。ただ、相手のパンチは途中からスロモーションというか、まるっきり見えたので。
一発、観客が沸いたことがあったのですが、あれも寸でのところで避けて、鼻先に触れただけなのでパンチは一発もクリーンヒットされていないです。ただ、ローキックを一発貰っちゃったのは反省点ですね。去年のソクジュ戦の映像を見ていたんですが、あんなにローが強いとは思っていなかったです」
――パッキャオ&メイウェザー・スタイル、その感触は?
「ヘヘヘ。そこを目指しているわけで……」
――でも、試合前には完成していると言っていましたよね(笑)。
「そう……、そうですね(苦笑)」
――そこは認めてしまうと(笑)。
「完成したというか……、違うんですよ。パッキャオとメイウェザーにはなってはいないんです。そこを目指しているわけで、その域に達すれば完璧です。そのスタイルを目指す、そうやって戦っていくことが完成したんです。昨日のスタイルも、完全に僕のスタイルなんです」
――いやぁ、高瀬選手らしいビックマウス復活かと思ったのですが、そういう意図の発言だったのですね(笑)。それにしても、フィニッシュの左ストレートは見事の一言でした。
「本当はあそこからエルボーの連係を狙っていたんですが、相手がもう目を剥いていたので、アレって思ってパウンドに切り替えたんです」
――ケージに詰めた時、首相撲からの展開も期待したのですが……。
「組んでも僕の方が圧力があったので、あの一回だけでなく、またチャンスがあれば首相撲からの展開に持ち込める自信がありました。あの時はあえて離れたんです。2Rの試合だし、一度で決める必要はないですしね。まぁ、これまでのことも色々とあって、僕が何か言えば色んな反応があると思うんですが、ホント、しっかりとボクシングの練習もしているし、何を言われようが構わないです。
このスタイルは練習でもずっとやっているんで。パッキャオやメイウェザーの名前を出すとバカにされるかもしれないですが、それだけのことをやっているので。アゴが上がっている構えも、相手のパンチが届かない距離でより大きく相手の攻撃を見えるようにしているんです」
――なるほど。ところで初めて戦ってみてRFCの印象は?
「花道とか、何かPRIDEを思い出しましたね。本当に懐かしい感じで、お客さんの熱気も凄かったですし。試合直後にジョン・ムンホン代表もケージの向こうからサムアップしてくれましたし、大会後も『入場のパフォーマンスも良かったし、試合スタイルも変わった』とエージェントに言ってくれていたみたいです」
――韓国で高瀬大樹、ここにありをアピールできましたね。
「RFCさんもライトヘビー級の選手が出てきているし、階級を上げたいと思っています。タイもDAREが復活すれば、出てみたいですけど、とにかくこのスタイルを突き詰めていきます。UFCのチャンピオンになれるとか言わないですけど、このスタイルの精度が上がっていけば、ちゃんとしたキャリアを積めると思っています」
――では、次戦も期待しています。
「そうですね――、入場と試合とファンに喜んでもらえたのが嬉しかったので、また頑張ります」
続きを読む
26日、RFC16/YoungGuns15でウィ・スンベに勝利した高瀬大樹、試合3日前に対戦相手と階級変更というドタバタを乗り越え、見事なKO勝ちを決めた。試合の前のパッキャオ&メイウェザー&ヒクソン・スタイルが話題になった高瀬が試合で結果を出した
<ライトヘビー級/5分2R>
高瀬大樹(日本)
Def.1R4分34秒by KO
ウィ・スンベ(韓国)
花道でセコンドの加藤清尚と抱き合い、そのまま歩を進めセコンドからサングラスを受け取ると同時に、入場曲が変調。カンナムスタイルが流れるや、PSY(サイ)ばりにダンスを披露、一気に観客席を沸点に導いたパフォーマンスを披露した高瀬。
【写真】マイクアピールが滑るイメージが強かった高瀬だが、カンナムスタイルで韓国のファンのハートをキャッチした(C)MMAPLANET
試合はウィ・スンベの右ローでスタート。高瀬の左ローは空を切り、ウィ・スンベが左フックを狙う。自分の距離を作るために左右の蹴りを繰り出す高瀬に対し、ウィ・スンベは再びローからハイを繰り出す。高瀬はショートのパンチから距離を詰め、ウィ・スンベをケージに押し込むが、ここは自ら距離を取り直す。
高瀬の右ミドルにウィ・スンベが右ストレートを合わせ、鼻先を掠めていく。ウィ・スンベのハイをスウェイでかわした高瀬はノーガードで左ミドル。ブロックしたウィ・スンベが左ジャブを伸ばす。一旦、距離を取った高瀬が鋭い踏み込みから左ストレート一閃。その前の段階で視線を落していたこともあり、ウィ・スンベはテイクダウンを警戒していたので、この一発がモロに顔面を捉える。
もんどりうって後方に倒れたウィ・スンベの背後からパウンドを落すと、即レフェリーが試合を止めて試合は決した。1R4分34秒の快勝劇、力強いKO勝ちを手にした高瀬に、快勝劇を振り返ってもらった。
【写真】口は悪いが、実は口下手で自己表現が苦手、正直者の高瀬。試合後も、こんな風にしか笑顔を見せることができないが、そこがまた彼らしい(C)MMAPLANET
――左ストレート、一発KO勝ちとなりました。
「会心の一撃でした。いやぁ、嬉しかったですね。足下が滑りやすくて、ああいうマットの時はバックステップは使えるのですが、前に出るのが難しくなって。それはテイクダウンに入るのも同じなんですが……。ただ、相手のパンチは途中からスロモーションというか、まるっきり見えたので。
一発、観客が沸いたことがあったのですが、あれも寸でのところで避けて、鼻先に触れただけなのでパンチは一発もクリーンヒットされていないです。ただ、ローキックを一発貰っちゃったのは反省点ですね。去年のソクジュ戦の映像を見ていたんですが、あんなにローが強いとは思っていなかったです」
――パッキャオ&メイウェザー・スタイル、その感触は?
「ヘヘヘ。そこを目指しているわけで……」
――でも、試合前には完成していると言っていましたよね(笑)。
「そう……、そうですね(苦笑)」
――そこは認めてしまうと(笑)。
「完成したというか……、違うんですよ。パッキャオとメイウェザーにはなってはいないんです。そこを目指しているわけで、その域に達すれば完璧です。そのスタイルを目指す、そうやって戦っていくことが完成したんです。昨日のスタイルも、完全に僕のスタイルなんです」
――いやぁ、高瀬選手らしいビックマウス復活かと思ったのですが、そういう意図の発言だったのですね(笑)。それにしても、フィニッシュの左ストレートは見事の一言でした。
「本当はあそこからエルボーの連係を狙っていたんですが、相手がもう目を剥いていたので、アレって思ってパウンドに切り替えたんです」
――ケージに詰めた時、首相撲からの展開も期待したのですが……。
「組んでも僕の方が圧力があったので、あの一回だけでなく、またチャンスがあれば首相撲からの展開に持ち込める自信がありました。あの時はあえて離れたんです。2Rの試合だし、一度で決める必要はないですしね。まぁ、これまでのことも色々とあって、僕が何か言えば色んな反応があると思うんですが、ホント、しっかりとボクシングの練習もしているし、何を言われようが構わないです。
このスタイルは練習でもずっとやっているんで。パッキャオやメイウェザーの名前を出すとバカにされるかもしれないですが、それだけのことをやっているので。アゴが上がっている構えも、相手のパンチが届かない距離でより大きく相手の攻撃を見えるようにしているんです」
――なるほど。ところで初めて戦ってみてRFCの印象は?
「花道とか、何かPRIDEを思い出しましたね。本当に懐かしい感じで、お客さんの熱気も凄かったですし。試合直後にジョン・ムンホン代表もケージの向こうからサムアップしてくれましたし、大会後も『入場のパフォーマンスも良かったし、試合スタイルも変わった』とエージェントに言ってくれていたみたいです」
――韓国で高瀬大樹、ここにありをアピールできましたね。
「RFCさんもライトヘビー級の選手が出てきているし、階級を上げたいと思っています。タイもDAREが復活すれば、出てみたいですけど、とにかくこのスタイルを突き詰めていきます。UFCのチャンピオンになれるとか言わないですけど、このスタイルの精度が上がっていけば、ちゃんとしたキャリアを積めると思っています」
――では、次戦も期待しています。
「そうですね――、入場と試合とファンに喜んでもらえたのが嬉しかったので、また頑張ります」